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2010年09月21日

江戸小紋 パート2

前回は歴史について触れたので 今日は模様について。

裃の染め色、茶・ねずみ・藍などの渋い色目だったので

各大名家は柄の精緻を競い合うようになりました。

藩の留め柄として定めた定小紋は

徳川将軍家 御召十

004 徳川将軍家の御召十は定小紋の中で

もっとも知られる柄のひとつで、斜めに整然と

並ぶ道具彫りの十字の間に錐彫りの点を納めた

ものです

 

前田家 菊菱

002  加賀・前田家の家紋は梅鉢で有名ですが

 裃の小紋柄は菊菱と伝えられています。

 菱にかたどった菊柄が整然とたすきにならんで

 品格高い柄です。

 

 001細川家 梅鉢

 肥後・細川家は九曜の家紋で知られて

 おりますが、裃の柄は梅鉢紋。

 小紋三役のようないかめしさはなく

 愛敬が感じられる柄です

 その他 紀州家の極鮫・島津家の大小霰などが有名です。

武士の裃から発達し、洗練された渋い味わいが、江戸の

町人たちに好まれ、町人文化の繁栄を背景として、遊びの

様々な模様が生みだされてきました。

大根おろし

009

 すんなり、ずんぐり、二股と

 形が違う大根とおろし金とを

 組み合わせて

 

 

 サルカニ合戦 006  

よく知られる昔話を

カニのはさみ、柿の若木、

大きな栗、うすで表現

 

 武家の格式を表す端正な柄と、町人に好まれた洒脱な柄

この二つの流れは現代の江戸小紋にも見ることができます。

鮫・行儀・通しなど一般に紋を付けて略礼装に用いられる柄ゆきは

裃小紋の流れを色濃く残すものが中心となっております。

次回は技法について ふれてみたいと思っております。