一度は地上から消えてしまった紅花染め・・・・・・
どのようにして 現在の染色工芸品へ復活させたのか・・・・・・・・
そして復活させたのは京の染め師でもなく、かつて紅花の生産地ではあったが
紅花染めの職人など一人もいなかった米沢の中学の理科の先生・鈴木氏だったのだそうです。
その鈴木氏の祖母の蔵から200粒ほどの古い紅花種が見つかり、昭和26年、これを
皮切りに試行錯誤をしながら紅花染めの挑戦をはじめたようです。
米沢織の三代目・新田秀次さんは、鈴木さんの最初の紅花染めに糸と織を
提供して織りあげる役目をし、その後 独自の紅花染めの道を確立した方です。
上代より行われてきた紅花染めの染色には大きな特色があります。
紅色素は高温では壊れてしまので、アルカリ性の水で紅色素を抽出し、
それを酸性に変えて糸に染着させる、化学的な理論を駆使して染められます。
紅花の染液のままでは染着しないため、米酢で中和します。分量の加減は
舌で判断するそうです。
紅色素はアルカリ性の水にのみ溶けだすので、稲わらを燃やした黒灰と水で
アルカリ性の灰汁を作ります。
紅色素は熱に弱いので、熱湯で煎じる染液抽出はしません。
色素を糸に固着させ、発色を良くするために、烏梅(梅の実の燻製)の水溶液をいれ酸性に。
やはり分量は舌加減で・・・・・
烏梅の酸による媒染は上代よりつづく伝統的染色法です。
長年紅花染めに取り組んでいる人でも、同じ色を出すことはできないというほど
繊細紅花染め。その年の紅餅の出来具合や染める時の気候、赤を発色させる
ための米酢や烏梅の加減によっても微妙に色合いが変わってくるのだそうです。
凍てつく季節に染をおこなう「寒染め」
紅花染めは、寒さの最も厳しい時期でないと、あの鮮やかな色がでないというので
染めはもっぱら真冬の作業。
水も刺すように冷たい中、寒ざらしといって紅花で染めた絹糸を冷たい空気にさらし
それを何度も繰り返して思い描く紅色へと近づけるのだそうです。
染めを重ねること八回で八塩染めといい、そこまでして初めて日本の伝統色、
韓紅(からくれない)に染め上げられるのだそうです。